5 Professors' Selection

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第1回 2021年615日(火)
TMEM30A loss-of-function mutations drive lymphomagenesis and confer therapeutically exploitable vulnerability in B-cell lymphoma
Nat Med.2020Apr;26(4):577-588
座長
東京大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学 教授
黒川 峰夫 先生
演者
岡山大学病院 ゲノム医療総合推進センター 研究教授
遠西 大輔 先生
概要

難治性悪性リンパ腫は、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法の治療効果が乏しいことが知られており、その免疫療法抵抗性のメカニズムの解明とその打破は、悪性リンパ腫の個別化医療を進める上で喫緊の課題である。筆者らは、DLBCL394症例を対象にマルチオミクス解析を実施し、新規ドライバー遺伝子変異としてTMEM30Aの機能喪失型遺伝子変異を発見した。TMEM30A変異は臨床学的に予後良好因子であるなど様々な特徴を持ち、生物学的にもマクロファージの貪食作用に関わるなど、新規免疫治療の標的となりうることが示された。

終了いたしました
第2回 2021年78日(木)
Rituximab, cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine, and prednisolone combined with high-dose methotrexate plus intrathecal chemotherapy for newly diagnosed intravascular large B-cell lymphoma (PRIMEUR-IVL): a multicentre, single-arm, phase 2 trial
Lancet Oncol. 2020 Apr;21(4):593-602.
座長
東北大学病院 血液内科/リウマチ膠原病内科 教授
張替 秀郎 先生
演者
名古屋大学医学部附属病院 血液・腫瘍内科 講師
島田 和之 先生
概要

血管内大細胞型B細胞リンパ腫(IVLBCL)は、全身臓器の細小血管内に腫瘍細胞が選択的に増殖する節外性B細胞リンパ腫の一型である。抗CD20抗体併用化学療法による治療成績の向上が示唆される一方で、高い二次性中枢神経浸潤リスクが解決すべき診療上の課題となっていた。筆者らは、診断時に明らかな中枢神経浸潤を有しない未治療IVLBCL患者を対象に、R-CHOP療法に中枢神経指向治療として高用量メトトレキサート療法と髄腔内抗がん剤注射を組み合わせた治療を試験治療とする臨床第2相試験(PRIMEUR-IVL試験)を行い、2年無増悪生存割合が76%、2年二次性中枢神経浸潤累積発症割合が3%と良好な治療成績が得られた。本試験は、単群の臨床第2相試験であるが、IVLBCLを対象に行われた初めての前方視試験であり、本試験治療は現時点での有効な治療法の一つであると言える。

第3回 2021年712日(月)
Minor intron retention drives clonal hematopoietic disorders and diverse cancer predisposition
Nature genetics 2021 April 12
座長
京都大学大学院医学研究科 血液・腫瘍内科学 教授
高折 晃史 先生
演者
神戸医療産業都市推進機構先端医療研究センター 血液・腫瘍研究部 上席研究員(グループリーダー)
井上 大地 先生
概要

全イントロンの中でわずか700個程度はマイナーイントロンと呼ばれ通常とは異なる機序でスプライシングを受ける。本研究では、マイナーイントロンのスプライシングを司るZRSR2遺伝子の変異が血液腫瘍で検出されることにヒントを得て、マイナーイントロンの脱制御が発がんへと導く機構に取り組んだ。患者データ、マウスモデル、CRISPR enrichment screeningなどを用いて、RAS経路の抑制因子であるLZTR1遺伝子上のマイナーイントロンのスプライシング異常が発がんに極めて重要な役割を担っていることを明らかとし、非コード領域の制御機構の重要性を改めて示した。

第4回 2021年713日(火)
Intestinal goblet cells protect against GVHD after allogeneic stem cell transplantation via Lypd8
Sci Transl Med. 2020 Jul 1;12(550):eaaw0720.
座長
北海道大学大学院医学研究院 血液内科学教室 教授
豊嶋 崇徳 先生
演者
北海道大学大学院医学研究院 血液内科学教室 助教
荒 隆英 先生
概要

移植片対宿主病(GVHD)は、同種造血幹細胞移植(HSCT)における重大な致死的合併症である。腸上皮細胞の1種である杯細胞はムチンを産生して粘液層を形成し、腸内細菌叢と宿主の腸上皮とを空間的に分離している。大腸杯細胞の喪失はGVHDにみられる組織学的特徴の1つであるが、その喪失がGVHDの病態生理に及ぼす影響については明らかでなかった。同種HSCTマウスモデルにおいて、大腸杯細胞が持続的に減少し、その結果として大腸の粘液内層に破綻が生じ、腸上皮下への細菌侵入の増悪してGVHDが悪化することが明らかになった。杯細胞の増殖因子であるInterleukin-25(IL-25)を移植前に投与することで大腸杯細胞がGVHDから保護され、細菌の腸上皮下への侵入が抑制されてGVHDが軽減した。このIL-25によるGVHD軽減作用は、有鞭毛細菌の運動性を抑制することで抗菌活性を示す大腸特有の抗菌分子Lypd8に依存しており、粘液層が物理的かつ化学的障壁としてGVHDに対して保護的に働くことが示唆された。さらにヒト同種HSCTの解析からは、大腸杯細胞が腸管GVHDの診断・治療反応性・予後予測のバイオマーカーとなりうることが示唆された。本講演では腸管GVHDの病態生理に関する近年の知見をオーバービューし、組織恒常性維持を目的とした新たなGVHD予防・治療標的としての大腸杯細胞の可能性について考察する。

第5回 2021年721日(水)
A human SIRPA knock-in xenograft mouse model to study human hematopoietic and cancer stem cells
Blood. 2020 May 7;135(19):1661-1672.
座長
九州大学大学院医学研究院 病態修復内科学(第一内科) 教授
赤司 浩一 先生
演者
九州大学病院 血液・腫瘍・心血管内科 助教
陳之内 文昭 先生
概要

ヒト-マウス異種移植モデルでは高効率のヒト細胞生着のため宿主のリンパ球欠損に加えてマクロファージが重要な役割を果たす。我々は、糖尿病のモデルマウスであるNODマウスがその他の遺伝子背景を有するマウスに比して極めて高効率にヒト細胞を生着可能である理由として、マクロファージに発現するSIRPA遺伝子の多型により、リガンドであるヒトCD47と結合可能となるため、"Don't eat me"シグナルが導入されることで移植片がマクロファージからの貪食から逃れて生着可能となることを報告した。次いで我々はB6マウスをベースに、Rag2Il2rg遺伝子をノックアウトすることでT/B/NK細胞を欠損させ、ヒトSIRPA遺伝子をノックインしたBRGShumanマウスを作成した。このマウスはNOD型SIRPAを発現するBRGSNODマウスに比して、異種移植でのヒト造血再構築能が高く、さらに患者由来AML細胞や大腸がん細胞に関しても同様に高い再構築能を有することが明らかになった。
 今後はこのBRGShumanマウスを礎とし、すでに報告したマウスKit遺伝子改変やその他造血に重要なサイトカインの導入を行い、マウスモデル未樹立の腫瘍の異種移植モデル確立を目標とし、病態研究や治療標的の探索および前臨床試験としての薬効や安全性評価に繋げていきたいと考える。

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